緑内障
1.緑内障とは?
緑内障(りょくないしょう)とは、眼圧が高くなって視神経が圧迫され、視神経萎縮を起こし、視野(見える範囲)が狭くなる病気です。昔は「あおそこひ」と呼ばれ、失明に至ることもある病気として恐れられてきました。
眼圧の正常値はおよそ10~21mmHg(水銀柱)とされていますが、眼圧が高くなるのは何らかの原因で房水の産生と排出がアンバランスになる為で、その結果、視神経が萎縮し、視野(眼を動かさずに見える範囲)が狭くなります。
緑内障には多くの病型があり、特に正常眼圧緑内障=眼圧が正常のタイプが日本人に多いことがわかってきました。
緑内障により障害された視神経は治療を行っても元に戻らず、失われた視野も回復しませんので、早期発見、早期治療を行うことがポイントとなります。
■房水と眼圧
目の中には血液のかわりとなって栄養などを運ぶ、房水(ぼうすい)とよばれる液体が流れています。房水は毛様体でつくられシュレム管から排出されます。目の形状は、この房水の圧力によって保たれていて、これを眼圧とよびます。眼圧は時間や季節によって多少変動しますが、ほぼ一定の値を保っています。
※緑内障の名の由来は?
房水がなにかの原因で過剰に溜まったときに角膜がむくんで瞳が青っぽく見えることに由来します。
2.種類・検査・治療法・予防
■ 緑内障の種類
種類 | 説明 | 主な症状 |
正常眼圧緑内障 | 眼圧が正常範囲の緑内障 | 自覚症状はほとんどない |
原発閉塞隅角緑内障 | 急激におこる緑内障 | 眼圧上昇・眼痛・頭痛・吐き気嘔吐など |
原発解放隅角緑内障 | ゆっくり進行する緑内障 | かなり進行するまで自覚症状がない |
先天緑内障 | 生まれつきの緑内障(牛眼) | 生まれつき隅角が未発達であることからおこる |
続発緑内障 | 他の病気に伴う緑内障 | 外傷、角膜の病気、網膜剥離、目の炎症など、他の目の疾患による眼圧上昇や、ステロイドホルモン剤などの薬剤による眼圧上昇によっておこる |
■ 緑内障の検査
○視力検査
○眼圧測定
○眼底検査 ※視神経乳頭を中心に検査
○細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査
○隅角(ぐうかく)検査 ※緑内障の病型を決める
○視野検査 ※緑内障がどの程度進行したものか、また、治療経過中に悪化してないかを調べる
■ 治療法
○薬・・・点眼薬、内服薬
○レーザー治療
○手術・・・
■ 予防
緑内障は、早期発見・早期治療で日常生活に支障がない視野を維持することができます。40歳を過ぎたら、ご自分では目が良いと思っていても1年に1回位は眼科の検診を受けることをお勧めします。
3.検査内容
■ 視野と視野検査について
視野とは、視線を固定した状態で見える範囲をいい、いわゆる視覚の広がりのことをいいます。視野検査は、様々な疾患により、見辛くなった所や感度が下がっているところがないかを調べる検査です。
また、視野検査には、中心視野検査と周辺視野検査があります。
当院では、下記の器機を用いて、検査に役立てています。主に、緑内障や視神経・黄斑部疾患がある方に行っています。
■ フリッカー視野
点滅光を用いて行い、“ちらつき”の感ずる、もしくは“ちらつき”を感じられなくなるのを検査するものです。主に視神経疾患が疑われる場合に行っています。
4.レーザー治療
■ 閉塞隅角緑内障(へいそくぐうがくりょくないしょう)
閉塞隅角緑内障(へいそくぐうかくりょくないしょう)では、緑内障発作の治療及び予防の為にレーザー治療が必要になります。レーザー光線で虹彩に穴を開けて、房水の通り道を作り眼圧を下げる事が出来ます。
■ 費用について ※片眼の料金です。
1割負担・・・ 5,100円位
2割負担・・・10,200円位
3割負担・・・15,500円位
※初回のみ上記料金がかかります。
5.手術
■ 線維柱帯切開術(トラベクロトミー) ①
作用機序は、線維柱帯に存在すると考えられる異常な房水流出機能を低下させると考えられており、前述した先天緑内障などがよい適応です。
トラベクロトームをシュレム管に挿入し、回転することにより線維柱帯を切開し、シュレム管と前房を直接交通させる手術です。後述する濾過手術より合併症は少なく、眼圧下降効果もややマイルドです。
■ 線維柱帯切開術(トラベクロトミー) ②
線維柱帯切除術は、前房隅角から結膜下に至る房水流出路を形成する濾過手術の一つです。
ほとんどのタイプの緑内障が適応となり、流出路形成に際して、半層切開した強膜弁下で線維柱帯を切除するため、従来の直接的濾過手術と比べ合併症が少ないため、緑内障減圧手術として、現在世界中で最も広く使われている術式です。
更に、マイトマイシンCなどの核酸代謝阻害剤も使用され、この濾過手術の成績が向上してきています。その他にも、多くの術式の手術がありますが、緑内障の手術は、眼圧を下降されるもので(進行を予防するだけで)、視力向上や視野回復が期待できるものではないため、やはり早期発見・早期治療が大事だと考えられています。