眼の病気・基礎知識

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2.主な眼の病気


⑥角膜・強膜


点状表層角膜炎(てんじょうひょうそうかくまくえん)

角膜の表面に小さな点状の傷ができる病気を表層角膜炎といいます。
点状表層角膜症とは、点状の傷が角膜の広範囲にできた状態をいいます。
 

【原因】

 
コンタクトレンズ装用よるものや結膜異物、逆さまつげ、涙の分泌の減少、感染など原因は多数あります。
 

【症状】

 
目がゴロゴロする、涙がでる、まぶしさを感じるなどの症状があります。場合によっては視力の低下もあります。角膜を特殊な染色液で染めると、角膜表面に点状のびらんがはっきりと観察できます。
 

【治療】

 
原因の判明している場合は、その原因を取り除き治療をします。角膜保護薬などの点眼を行ないます。

角膜潰瘍(かくまくかいよう)

角膜の傷が表面だけでなく上皮まで達したものを角膜(上皮)びらんといいます。びらんよりもさらに傷が深くなったものを角膜潰瘍といいます。
 

 

 

【原因】

 
細菌の感染、外傷、コンタクトレンズの装用によりおこります。
 

【症状・診断】

 
目のゴロゴロ感や痛み、まぶしい、涙が出るなどの症状があります。
 

【治療】

 
第一に原因となるものの治療をおこないます。細菌が原因でおこった場合には、抗生物質の点眼や内服、注射をします。潰瘍が深い場合には治療用のソフトコンタクトレンズを装用することもあります。

匐行性角膜潰瘍(ふくこうせいかくまくかいよう)

進行の速い病気です。ある程度進行すると、細菌感染が治っても角膜に強い濁りを残し、視力が低下するので、早期に適切な治療をする必要があります。
 

【原因】

 
目を何か物で突いたとき、角膜に細菌が感染して発症します。
 

【症状】

 
急激に発病し、はげしい目の痛みとまぶしさ、涙が出ます。 まぶたの腫れ、充血もみられます。はじめは、角膜に濁りがみられ、さらに進むと潰瘍ができます。角膜の後方の前房部分に膿がたまります(前房蓄膿)。早期に適切な治療が行なわれないと、失明することもあります。
 

【治療】

 
抗生物質の点眼や結膜への注射、内服、静脈注射を行ないます。目を何かで突いたときは、軽くても眼科医を訪れることが大切です。

乾性角結膜炎(ドライアイ)(かんせいかくけつまくえん)

【原因】

 
目を保護するための涙の分泌が減少したり、涙の機能が低下するために、角膜と結膜の表面に細かい傷ができます。
 

【症状】

 
目が乾き、ゴロゴロ感、ときにまぶしさや視力低下があります。また、目やにや口内の乾燥感を伴うことがあります。
 

【治療】

 
人工涙液や角膜保護薬の点眼や、目の表面が乾燥しないよう保護用の眼鏡を装用し対処します。涙の通り道(涙点)をシリコン性のプラグで閉鎖するなどの手術を行なうこともあります。

単純角膜ヘルペス角膜炎(たんじゅんかくまくへるぺすかくまくえん)

単純ヘルペスウイルスによる、角膜の感染症です。このウイルスは元々、三又神経節に潜伏しています。からだの抵抗力が衰えたときなどに、発症し角膜に病気をおこします。
主に、角膜の表面を侵すタイプ(上皮ヘルペス-樹枝状角膜炎)と、深部を侵すタイプ(実質ヘルペス-円板状角膜炎)の2種類があります。通常は片眼で再発することが多いといわれています。
 

【原因】

 
単純ヘルペスウイルス
 

【症状】

 
上皮ヘルペス・・・表面を侵すタイプは、角膜の表面に木の枝のような形の潰瘍[樹枝状潰瘍]をつくるのが特徴です。症状は、ゴロゴロしたり、まぶしい、涙が出るなどがあります。角膜の知覚が低下するのも特徴です。
実質ヘルペス・・・深部を侵すタイプでは、角膜は白く濁るために前項の症状とともに、著しい視力低下がおこります。このタイプは治りにくく慢性の経過をとります。
 

【治療】

 
抗ウイルス薬のアシクロビル眼軟膏や、IDU点眼液の点眼を行ないます。 実質ヘルペスではステロイド剤の点眼、内服も併用します。

単純ヘルペス性眼瞼結膜炎(たんじゅんへめぺすせいがんけんけつまくえん)

角膜ヘルペスに伴い眼瞼炎、結膜炎を合併することが多いといわれています。
瞼の病変は乳幼児に多いといわれています。
 

【症状】

 
瞼の病変では、瞼に赤く腫れた、小さな水ぶくれのようなものができます。
結膜の病変では充血や涙、目やになどの症状があります。
 

【治療】

 
アシクロビル軟膏やIDU点眼薬、抗菌薬軟膏を塗布する。

円錐角膜(えんすいかくまく)

角膜の中央部が円錐状に突出する原因不明の病気です。多くの場合、思春期ごろ両目に発病し徐々に進行しますが、30歳くらいになると、進行が止まることが多いようです。アトピー性皮膚炎のある人に多くみられます。
 

【症状】

 
角膜の突出によって視力が低下します。急速に進行した場合、デスメ膜の破裂を起こし、角膜浮腫、混濁が生じて、著しい視力低下を起こします。
 

【治療】

 
初期の場合は、ハードコンタクトレンズを装用します。症状が進行しコンタクトレンズが装用できない場合は、角膜移植術等を行ないます。

電気性眼炎(でんきせいがんえん)

殺菌灯、電気溶接、野外などの紫外線で、角膜の表面に細かい傷が生じることがあります。また、スキーなどでも紫外線を浴びた時にも同様の症状が起こります。これを雪目といいます。
 

【症状】

 
紫外線に目がさらされて、数時間で発病します。 異物感、涙、まぶしさ、はげしい痛みがあります。充血し、角膜は表面全体に細かい傷ができます。
 

【治療】

 
眼軟膏や角膜保護薬等を点眼し、数日で症状が軽減します。痛みがひどいときには鎮痛剤を内服します。
予防策としては、紫外線から目を保護するためサングラスなどが必要です。

強膜の炎症(きょうまくのえんしょう)

結膜の下にあるのが強膜という白い膜で、強膜の表面に接する部分は、上強膜といわています。ここに炎症がおこるのが上強膜炎です。
上強膜炎に比べ、深い部分の強膜におこった炎症が、強膜炎です。原因は不明なことが多いようですが、関節リウマチなど全身疾患に合併してみられることもあります。
 

【症状】

 
目の充血、痛み、まぶしさ、涙などの症状があります。充血した結膜が一部盛り上がることもあります。
特に、強膜炎では目の痛みを強く訴え、しばしば虹彩炎を合併することもあります。
 

【治療】

 
副腎皮質ステロイド薬の点眼をします。重症な場合には結膜に注射、ときには内服薬を用いることもあります。

雪目(ゆきめ)

スキーや雪山登山で強い紫外線に目がさらされたときに、角膜の表面に細かい傷がつくことがあり、これを雪目といいます。そのほか、殺菌灯、電気溶接、海や山などの紫外線でも同様のことがおこります。
 

【症状】

 
紫外線に目がさらされて、10時間ぐらいして発病します。 目はごろつき、涙が出て、まぶしさとはげしい痛みのため目をあけられないこともあります。結膜は真っ赤に充血し、角膜は表面全体に細かい傷ができていて、特殊な染色液で染めると角膜表面は点状に染まります。
 

【治療】

 
角膜保護薬等を点眼します。ふつう、1日か2日で治ります。紫外線にさらされるような場所では、紫外線から目を保護するためのめがねをかけることが必要です。

上強膜炎(じょうきょうまくえん)

白目のいちばん表面にあるのが結膜で、その下にあるのが強膜という白い強い膜です。強膜の表面に接する部分は、比較的血管が多く上強膜といわれ、ここに炎症がおこるのが上強膜炎です。原因は不明ですが、しばしば関節リウマチに合併します。
 

【症状・診断】

 
まぶしい、涙が出る、目が痛いといった症状があり、ときに、目を押さえると痛いこともあります。白目の一部分が赤く充血し、場合によっては、その充血したところの一部が盛り上がった状態になっていることもあります。
 

【治療】

 
副腎皮質ステロイド薬の点眼が有効です。

強膜炎(きょうまくえん)

上強膜炎に比べて深い部分の強膜におこった炎症が、強膜炎です。しばしば関節リウマチに合併しますが、比較的まれな病気です。
 

【症状・診断】

 
自覚症状として目の痛みが強いことが特徴ですが、ほかに、まぶしい、涙が出るといった症状があります。白目の一部に紫がかった充血があり、部分的に盛り上がった状態になることもあります。結膜の充血は血管収縮薬を点眼すると消えますが、強膜炎の充血は消えないので、区別できます。虹彩炎を合併することがしばしばあります。
 

【治療】

 
副腎皮質ステロイド薬の点眼をします。重症な場合には、副腎皮質ステロイド薬を目に注射したり、内服することもあります。

眼の病気・基礎知識


 
眼の病気・基礎知識は、眼球の構造と役割、主な眼の病気、で構成されています。